2025/07/23
いつもご覧いただきありがとうございます!
院長のながしまです。
今回は『上腕二頭筋腱断裂(じょうわんにとうきんけんだんれつ) 』について話します。
まず、上腕二頭筋とは何か?と言いますと『力こぶ』のことです。
赤い矢印が上腕二頭筋長頭
青い矢印が上腕二頭筋短頭
この様に2つの頭に分かれています。
上腕二頭筋腱断裂は長頭腱で起こります。
【原因】
よくあるのが加齢により徐々に劣化し自然に切れてしまうというものです。
若い方たちに多いのは重い荷物を急に持ち上げたりしたときに『ブチッ』といきます。
長頭腱は『結節間溝(けっせつかんこう)』と言う場所を通って行きます。
結節間溝と言うのは上腕骨にある『大結節(だいけっせつ)』『小結節(しょうけっせつ)』と呼ばれる膨らみの間にある溝で、そこを長頭腱が通るのです。
赤○ : 大結節
青○ : 小結節
しかし、大結節と小結節の間で摩擦を起こしやすくなっており、腕をよく使う方は断裂してしまうことがあるのです。
【症状】
完全断裂と不全断裂があります。
痛みは断裂部に痛みを生じます。
肘を曲げることが困難になり、荷物を持とうとすれば痛みは増大します。
受傷直後は結節間溝部で腫れが出ることもあります。
数日後には腕から肘にかけて内出血が発生する場合もあります。
完全断裂の場合は見た目も上腕二頭筋のふくらみが肘側に下がっていきます。
【診断】
完全断裂の場合は上記に書いたように上腕二頭筋のふくらみが肘の方へ下がっているので健側と比べればわかりやすいです。
レントゲン写真には写らないのでMRI検査などで診断できます。
その他に我々の場合は徒手検査としてヤーガソンテストなどを行います。
【治療】
断裂部の痛みは安静にしていれば徐々に治まり、日常生活を送るだけなら支障がなくなります。
*肘や肩の動きに制限はあります
高齢者の場合ならそれほど不自由なく生活が送れる可能性が高いので、そのまま保存的に治療することもあります。
しかし、神経を痛めていたり、現役で仕事やスポーツや家事を行うような場合は断裂部を上腕骨上端へ固定する手術を行います。
保存療法の場合は上腕二頭筋の機能が失われているので、それを補うために肩や肘を曲げるための補助筋をトレーニングしながら生活していくことをお勧めします。
*上腕筋・烏口腕筋・三角筋など
以上が上腕二頭筋腱断裂になります。
私が今まで患者様などからお聞きした話では、治療に行ったら『五十肩』と言われ、精密検査をしてみたら上腕二頭筋腱断裂だった!!何て話を何例か聞いたことがあります。
高齢になればなるほど自然に断裂することが多く、若年者では急性受傷が多いので、同じ断裂でも患者様の感じ方が違うのかもしれません!!
*DeAGOSTINI医学大百科人体アトラス 上腕部の筋より図の抜粋を行いました。