骨折について⑦

いつもご覧いただきありがとうございます!

院長のながしまです。

前回書いた『骨折の後遺症』の続きを書いていきたいと思います。

では、今週はいよいよ(やっと?!)骨折の後遺症最終章になりますので、もうしばらくお付き合い下さい。


関節運動障害(強直・拘縮)

関節の動きを制限してしまうことです。(曲げようとしても曲がらなかったり、伸ばそうとしても伸びなかったり)

原因としては長期の固定・関節内骨折・関節近隣の骨損傷・過剰化骨形成・変形治癒などがあります。

しかしながら、普通なら関節運動障害は全く起こらないの?という訳ではありません。

例えば、骨折の場合はギプス固定を数週間に亘って行います。

その結果、多少の関節運動障害は起こります。

その障害を後療法(リハビリ)で治していきます。

ここで、関節運動障害を2種類に分類してみます。

関節強直(かんせつきょうちょく)
関節こ構成する骨や軟骨が原因あって関節面で癒着してしまい、関節の運動が制限されてしまうこと。

基本的には自然には治りません。(手術適応)


関節拘縮(かんせつこうしゅく)
関節を直接構成する組織以外の関節包・靭帯・筋肉・皮膚などの軟部組織が固くなってしまい、関節面の癒着はないが関節の動きを制限してしまうこと。

基本的に後療法で回復します。

外傷性骨化性筋炎(がいしょうせいこつかせいきんえん)


筋肉が骨のようになってしまう現象です。

以前話をした過剰化骨形成に若干機序は似ています。

外傷によって発生した血液が筋肉や骨膜に血腫を形成し、これが吸収されずに骨化してしまうことです。

初期には腫れや痛みや熱感や運動制限を伴い、腕や太ももによく発生します。

外傷性骨化性筋炎は骨折だけではなく、強度な打撲などでも発症することがあります。

予後は良好で骨化した部分が吸収されるまでに多少時間がかかりますが、回復するケースが多いです。


フォルクマン拘縮

阻血性拘縮(そけつせいこうしゅく)とも呼びます。

外傷のために発生した前腕筋の阻血性循環障害、子供の肘の骨折で発生することが最も多いです。

原因は骨折が上手に整復されていなかったり、過度の腫れ、過度の包帯固定などによって、前腕筋群に血行障害が起こり、急速な退行性変化を起こし発症します。


筋肉は線維化し短縮した不可逆性変化が起こると重傷な後遺症を残し、どんなことがあっても現在の医学では機能回復は見込めせん。

発症は受傷後24時間以内に始まり、腕に強い浮腫・自発痛・チアノーゼ・拍動消失・冷感・知覚麻痺などの阻血症状が現れ、手関節から指はすごい状態になります。
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一晩で現れ一生治らないため、徴候が少しでも出た場合は、早急に対処が必要になります。

以上!!今回はここまで!!




次回で骨折は終わりにする予定です!!

参考文献
南江堂 柔道整復学―理論編(改定第3版)より一部抜粋