骨折について⑥

いつもご覧いただきありがとうございます!

院長のながしまです。

前回書いた『骨折の後遺症』の続きを書いていきたいと思います。


変形治癒(へんけいちゆ)

骨折部が転位を残したまま骨癒合(こつゆごう:骨がくっつくこと)してしまい、正常な形に修復されなかった場合を変形治癒と呼びます。

要は曲がってくっついた状態です・・・

原因は不正確な整復(骨を戻す行為)や不適当な固定が大半を占めます。

整復に関しては自家矯正力(勝手にもとに戻ろうとする力:自然治癒力の一つ)が効かないほどの転位を残してしまう整復は論外となります。

固定に関しても固定の範囲・強さ・期間が重要になります。

教科書的にはこのように書かれていますが、実際はどうかと言いますと・・・

結構、患者様ご本人が無理やり動かそうとしたり、ひどい場合は勝手に固定を取ってしまった・・・何てことも経験しました。

変形治癒は容姿的だけでなく、変形によって関節付近であれば関節の機能障害、神経や血管が通る場所なら神経・血管障害を引き起こしたりもします。


骨萎縮(こついしゅく)

骨萎縮とは簡単に言えば骨が弱くなっていると思っていただければいいです。

通常、骨は常に破壊と再生を繰り返しております。
*骨折をしていない人も!!

しかし、骨萎縮が起こると再生が止まってしまい、破壊だけが進んでいきます。

よって骨が弱くなってしまいます。

実際はもっと複雑なのですが、簡単に書けばそんな感じです。


無腐性骨壊死(むふせいこつえし)

骨が死んでしまうことを言います。

骨折時に骨への供給血管が損傷を受けることによって、骨への血行が遮断され壊死に至ります。

無腐性骨壊死は起こしやすい場所が存在します(股関節脱臼骨折・大腿骨頸部内側骨折・手の舟状骨骨折・距骨骨折など)

赤 :血管  青 :骨  黒 :壊死部 

上記のように骨折部から先に血液供給がなければ、その骨片は壊死を起こしてしまうので、細心の注意が必要となってくるのです!!

次回で後遺症は最後になります。

私に時間があれば骨折部の修復についても書き加えて、骨折については終われると思います。

以上!!今回はここまで!!



参考文献
南江堂 柔道整復学―理論編(改定第3版)より一部抜粋