靭帯について②


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院長のながしまです。

今回は前回の『靭帯について』を踏まえて『前十字靱帯(ぜんじゅうじじんたい)』の損傷について話をしていきたいと思います。

前十字靱帯は膝関節に存在し、前回話をした『関節包内靭帯』です。

膝関節の関節内には前十字靱帯と後十字靱帯(こうじゅうじじんたい)が存在します。

2本の十字靱帯は大腿骨と脛骨を結んでおり、この2本の靭帯が『十字』のようにクロスしているのが特徴です。
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赤の奥に前十字靱帯が存在します。
青は膝蓋骨(膝のお皿)です。

この膝蓋骨をめくってみるとこのような状態になります。
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赤○が前十字靱帯になります。

ちなみに膝の裏から見ると
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こんな状態です。
赤 : 前十字靱帯
青 : 後十字靱帯
緑 : 外側側副靭帯
黄 : 内側側副靭帯

前十字靱帯の作用ですが下腿骨が前方へずれるのを抑制することです。
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では本題の前十字靱帯損傷について話をしていきます。

まず前十字靱帯はスポーツ中の受傷が多いです。例えば、バスケットボール、サッカー、バレーボール、アメリカンフットボール、スキーなどでおこります。

ダッシュをして急にと持ったり、ジャンプの着地やピボット動作で靱帯を損傷しやすい傾向があります。

一番大きな問題は『膝の使い方』です!!

上記のような動作で正確な動作が起こっている場合はケガをしにくいのですが、

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このように膝が内に入り、つま先が外を向くような状態(knee in toe out)が起こると捻じれが入ります。

この時に前十字靱帯は引き伸ばされたり断裂したりするのです。

症状としては運動痛・腫れ・可動域制限・膝崩れなどが挙げられます。

特に『膝崩れ』は前十字靱帯損傷の代表的な特徴で、歩いたりしていると膝がガクッとなることを繰り返します。

簡単な検査法としては『前方引き出しテスト』『ラックマンテスト』と言うものがあります。

両テストとも、下腿骨を前方に引っ張り上げることによりテストを行います。

陽性としては、上記にも書いたように前十字靱帯は下腿骨(脛骨)が前方へ行かないようにする作用があるため、前十字靱帯が損傷している場合は容易に下腿骨が前方へ出てしまいます。
*損傷の度合いにもよりますが、断裂している場合は簡単に動きます。

近年では前方引き出しテストよりラックマンテストの方が多く用いられているのではないかと思います。

後はMRIなどの画像診断により前十字靱帯損傷を確定させます。

治療法は保存療法と手術があります。

手術は『靭帯再建術』という方法が行われます。

損傷を受けた靭帯を筋肉の腱を切り取ったもので代用し移植(付け替え)します。
*半腱様筋や薄筋腱などを代用し移植します。

復帰にはリハビリを含めても半年以上はかかり、靭帯損傷の部類では長期間かかります。

保存療法は前十字靱帯の損傷程度が低く、スポーツへの復帰が無い方が行う事が多いです。

ギプスやサポーターでの固定を行い安静にします。

しかし、前回も書かせて頂きましたが、前十字靱帯は関節包内靭帯の為、血行に乏しく修復に困難ですので、膝崩れが起こるや膝の不安定性が目立つ場合は手術された方が良いと思われます。

 

どういう動作で痛みが出て、増悪するか?、動きはどうか?を診て、治療内容を説明させていただきますので、痛みや違和感が気になる方はご相談ください。